不動産用語集

用語の頭文字

あ行

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

RC

「Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。

内法

建物床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のことである。

不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。

この反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。

ちなみに建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令2条1項3号)。

従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているのである。

SRC

「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄骨鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋コンクリートに、鉄骨を内蔵させた建築構造
比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。

購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。

か行

建ぺい率

敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合(%)。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。

建物の建ぺい率の限度は、原則として、用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。

現状有姿

現在あるがままの状態を意味する。

山林や原野などを造成工事をしないで販売することを「現況有姿分譲」といい、市街化調整区域別荘地などの分譲でよく行なわれる。通常は、電気、ガス、水道などの施設が整備されていないために、そのままでは生活できない。分譲広告の際には、現況有姿分譲地であってそのままでは生活する施設がない旨表示しなければならない。

また、売主瑕疵担保責任を免れるために、売買契約中に「現況有姿で引渡す」旨記載して取引することがあるが(これを「現況有姿売買」という)、引渡しまでの間に目的物に変化があったときなどまで責任を免れることができるかどうかについては、消極的(直地には免れない)に解する意見が強い。

さ行

敷金

建物の借主が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため、貸主に交付する金銭をいう。
敷金は、契約が終了した場合に、未払賃料等があればこれを控除したうえで借主に対して退去後に返還される。

修繕積立金

管理組合が管理費とは別に共用部分や付属施設などの修繕を目的とした長期計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
管理費と同様、一般的に専有部分の専有部分の面積の割合で月額料金が定められている。

スケルトン

構築物の骨組みのこと。建物などの構造・強度を形成する部材で、構造躯体とも言われる。英語のskeleton。

建物を、スケルトンと内装や設備(これをインフィルinfillという)とを分離できるように設計・施工すれば、改築することなく間仕切りや設備を自由に変更できる。このような工法によって建築された住宅を「スケルトン・インフィル住宅」という。

セットバック

2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に接する場合において、建物を建築・再建築する際、道路の中心線から2mとなるよう敷地の一部を後退させることをいう。
なお、セットバックした部分は道路とみなされ、建物を建築することはできない。

た行

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

定期借家契約

平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。

債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

登記識別情報通知書

登記完了後に、登記名義人に対して登記識別情報を通知するために交付される書面のこと。
オンライン庁では、従来の登記済証に代わるものとして、登記識別情報(12桁の秘密の番号)を、登記完了時に登記名義人に交付することとなっている。
オンライン庁で書面申請をする場合には、登記申請者は、この登記識別情報を「書面」の形で受け取ることとなり、この書面を「登記識別情報通知書」と呼んでいる。

この登記識別情報通知書では、登記識別情報(12桁の秘密の番号)を書面に印刷し、その登記識別情報の部分に、一度剥がすと二度と貼れない特殊な目隠しシールを貼った状態になっている。このような特殊なシールにより登記名義人以外の者が、登記識別情報を盗み見ることを防止している。

登記簿謄本

ある不動産に関する1組の登記用紙のすべての写しのこと。

登記簿謄本の末尾に登記官が押印することにより、その内容が正しいことを証明している。
土地の場合、登記簿謄本はその土地に関する「表題部」「権利部」(甲区乙区)の写しである。また建物の場合、登記簿謄本はその建物に関する「表題部」「権利部」(甲区・乙区)の写しである。

なお、1組の登記用紙の一部のみの写しは「登記簿抄本(とうきぼしょうほん)」という。
コンピュータシステムを導入している登記所では、登記簿謄本に代わるものとして「登記事項証明書」を交付している。

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)

注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

道路位置指定

特定行政庁が、私道の位置を指定することを「道路位置指定」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。

この「道路位置指定」を受けることによって、私道は「建築基準法上の道路」となることができる。
従って、私道のみに接する土地で建築をしようとする際には、まず私道について「道路位置指定」を受けることが必要である。

「道路位置指定」を受けるためには、その私道が建築基準法施行令第144条の4の基準を満たすことが必要である。この基準によれば、私道の幅は少なくとも4m(袋地の場合には6m)であることが必要とされている。

な行

根抵当権

継続的取引などによって生じる不特定の債権について、定めた限度額を限度として担保する抵当権をいう。担保する債権が特定されないことに特徴がある。民法の規定に基づく権利である。

根抵当権を設定するには、限度額の他、担保する債権の範囲及び債務者を定めなければならない。

通常の抵当権と違って、個々の債権に対する附従性(主たる権利と運命を共にする性質)や随伴性(主たる権利の移転に従って移転する性質)がない。ただし、根抵当権が担保すべき元本が生じない状態になったとき(根抵当権の確定時)以降は、通常の抵当権と同様に附従性や随伴性を帯びることとなる。

なお、根抵当権は、根抵当権設定者の承諾を得れば、譲渡、分割、一部譲渡(共有化)することができる。この場合、譲渡された根抵当権は、譲渡人の債権ではなく、譲受人の債権をその担保すべき債権の範囲で担保することとなる。

は行

フラット35

住宅ローンのひとつで、民間金融機関と(独)住宅金融支援機構が連携して提供する長期固定金利のものをいう。民間金融機関が住宅資金を融資したうえでその債権を住宅金融支援機構に譲渡し、機構はその債権を証券化して資金を調達するというしくみによって運営される。

フラット35の融資期間は最長35年でその間の金利は固定されている。また、融資の対象となる住宅は、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していなければならない。住宅を建築する場合のほか、新築住宅の購入、中古住宅の購入、借り換えの場合にも利用できる。

フリーレント

建物等の賃貸契約において、一定期間賃料を無料とすることをいう。

賃料相場等への影響を避けながら実質的に賃料を割安にする手法であり、販売促進の方法の一つである。

主として事務所ビルの賃貸に際して採用されることがあるが、住宅賃貸においても採用する例が現れている。

分譲

土地や建物を分割して譲渡すること。たとえば、「宅地分譲」は広い土地の一部を宅地として売り渡すこと、「分譲マンション」は一棟の建物及びその敷地を複数に区分して売り渡された住戸(区分所有している建物)である。

通常、分割した土地や建物の所有権売買契約によって移転する方法で行なわれる。

分譲賃貸

分譲用の住戸を賃貸すること。もっとも、建築設計上は、分譲用住戸と賃貸用住戸との違いはない。

壁芯

建物床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。

この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。

建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。

なお、この「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

ま行

メゾネット

マンションにおいて、上下2階にわたる住戸のことを「メゾネット」という。

上下に広い空間を確保し、一戸建てのような内部空間を作ることができる。

や行

家賃保証会社

賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。

家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。


契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。

家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。

家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。

容積率

延べ面積敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。

建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

ら行

リノベーション

新築を除く住宅の増築、改装・改修、模様替え、設備の取替えや新設などの改造工事を総称してリノベーションという。

リフォーム、リモデルなどとも。

既存建物の耐震補強工事もリノベーションの一種である。

リバースモーゲージ

持家を担保に生活資金を融資し、所有者の死亡もしくは契約終了時に一括返済する仕組みをいう。

時間の経過とともに融資残高が増加していき、最終的に一括して返済されることが特徴である。一括返済のための資金は、一般的に、持家を処分して確保されることとなる。その間の利息も、最後に一括して支払うことが多い。

持家を所有するが収入が少ない高齢者等が生活資金を確保する仕組みとして工夫されたもので、欧米で発達した。日本では、地方公共団体が生活支援方策の一つとして活用する例があるほか(最も早い例は、1981(昭和56)年の(財)武蔵野市福祉公社(東京都武蔵野市)による「福祉資金貸付サービス」であるとされる)、金融手法の一つとしていくつかの金融機関等が導入している。

なお、契約期間終了時に持家を処分する場合にも、その後もその住宅に住み続けることのできる特約を伴うことが一般的である。

リフォーム

建物の構造強化、機能向上などを図るための改修をいう。リフォームの種類には、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、耐久性向上化などのための工事がある。

リフォームへのニーズは、既存建物の有効活用、既存住宅流通の活性化、良質な住宅ストックの形成などの要請によって、今後高まっていくと考えられている。また、これを促進するためのリフォーム減税が措置されている。

一方で、リフォームは、その目的や内容が多様で幅広いこと、リフォーム前の建物の状態がさまざまであることなどの特徴がある。そのため、リフォームのための技術・技能や費用を標準化するのが難しい。また、リフォームによって高まるであろう不動産価値を評価する手法は十分に確立されているとは言い難く、リフォームを不動産価格に反映するしくみも十分ではない。リフォームに対するニーズに応えるためには、これらの課題に取り組まなければならない。

礼金

建物の賃貸借契約を締結する際に、借主から貸主に対して、謝礼として支払われる金銭をいう。
契約が終了しても通常、借主に返還されない。